遺族年金が打ち切りに?もらえなくなる条件を事前に知っておこう!
大切な身内が亡くなって途方に暮れていたけれど、なんとか生活を立て直していきたい。
そんなときに頼りになるのが遺族年金です。
遺族年金は一生涯受給できるタイプもある一方、条件によっては途中で打ち切りとなるタイプもあります。
この先ずっともらえるものだと思っていた遺族年金の支給を、もし突然打ち切られてしまったらあなたは慌ててしまうと思いませんか?
実は、遺族年金は条件によって「いつまでもらえるのか」あらかじめ決められています。
そのため、いつ支給停止になる(または受給終了となる)のかを知っておけば、突然の支給打ち切りに対して怯えずに済みます。
そこで今回は、遺族年金が打ち切りになる条件について解説したいと思います。
遺族年金って誰がもらえるの?まずは基本的なことを押さえよう
そもそも、遺族年金ってどんな年金なの?と思っている方もいるはず。
遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者だった方が亡くなった場合に、生計を維持されていた遺族へ支給される年金のこと。
ちなみに遺族年金は次の2種類にわかれています。
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
遺族基礎年金は、「子がいる配偶者」または「子」に対してのみ支給されます。
一方で遺族厚生年金は子がいなくても支給されますが、年齢や被保険者との続柄などによって受給対象者となれる優先順位が変わってきます。
遺族年金をもらえなくなる条件とは?支給停止や受給終了となる場合
遺族年金は一生涯もらえる年金もある一方で、期間限定でしかもらえない年金もあります。
そこで、遺族年金をもえらなくなる条件を次の2パターンにわけて整理してみました。
- 支給停止となる条件
- 受給終了となる条件
詳しくみていきましょう。
1.遺族年金が支給停止となる条件
遺族年金が支給停止となる、これは「遺族年金をもらう資格はあるけれど、(他の条件によって)受給がストップしている」と考えてもらってかまいません。
受給がストップしているだけなので、その後に受給できる可能性は残っています。
では、どういったときに遺族年金が支給停止となるのでしょうか?その条件はこちらです。
- 労働基準法による遺族補償が支払われる場合
- 遺族厚生年金を受給できる夫・父母・祖父母が、55歳以上60歳未満である場合
ちなみに夫(または父母・祖父母)が遺族厚生年金を受給する場合、55歳以上で受給対象者となりますが実際に支給が始まるのは60歳。それまでの間は支給停止となります。
2.遺族年金が受給終了となる条件
受給終了となった年金はその後、受給権が復活することはありません。
遺族年金が受給終了となる条件は、こちらです。
- 受給者が死亡したとき
- 受給者が再婚したとき(事実婚含む)
- 受給者が(直系血族および直系姻族以外の方の)養子となったとき
- 離縁によって死亡した方との親族関係がなくなったとき
また、この他にも受給者別に受給終了となる条件が設定されています。
子・孫の場合 | 18歳になった年度の3月末日に到達した場合(※ただし障害等級1・2級の場合は20歳) |
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父母・孫・祖父母の場合 | 被保険者が亡くなった当時に胎児であった子が出生した場合 |
妻の場合 | 30歳未満の子のない妻が遺族厚生年金を受給開始後、5年を経過した場合 |
遺族年金が突然打ち切りに?もらえなくなる場合の具体的例を紹介
遺族年金の支給停止や受給終了について、おわかりいただけたかと思います。
この章では遺族年金が突然打ち切りになっても慌てないよう、年金をもらえなくなる場合の具体例を紹介したいと思います。
遺族基礎年金の支給が打ち切りとなる場合
子どもが高校を卒業すると、遺族基礎年金の支給が打ち切りとなります。
それは、遺族基礎年金の受給要件に関係するからです。
- 子のいる配偶者
- 子
この場合の子とは、18歳までをいいます(支給は年度の3月末日まで)。
つまり子どもが18歳になった翌年度の4月以降、遺族基礎年金の受給が打ち切られてしまうのです。
それが「中高齢寡婦(かふ)加算」です。
遺族基礎年金+遺族厚生年金を受給していた40歳以上の妻が、子が18歳になった年度の3月末日に達したために遺族基礎年金の受給が打ち切られてしまった場合に、遺族厚生年金に加算される年金のこと。
中高齢寡婦加算は、65歳まで受給できます。ただし、妻が亡くなった場合の夫へは支給されません。
でも条件によっては、その他の年金がもらえることがあります。詳しくは遺族年金をもらえなくなったらどうする?その他にもらえるお金とは?で紹介しますね!
遺族厚生年金の支給が打ち切りとなる場合
遺族厚生年金は基本的に受給を開始したら、一生涯受給できます。
また、ご自分の老齢厚生年金がある場合は併給調整によって遺族厚生年金が一部支給停止となる場合も。
特に若くして遺族厚生年金を受け取っている奥様は、5年間という支給期間を覚えておいた方が良さそうですね。
遺族厚生年金も、期間限定ではなく継続して受給できるようになります。お子さんが生まれたら年金事務所へ額改定請求書の届け出を忘れないようにしてください。
遺族年金をもらえなくなったらどうする?その他にもらえるお金とは?
遺族年金をもらえなくなった場合、その他にもらえるお金はあるのでしょうか?
そこで被保険者がどちらの保険に加入していたか?によって詳しく見ていきましょう。
- 国民年金の場合
- 厚生年金の場合
国民年金の場合:寡婦年金や死亡一時金など
亡くなった方が国民年金に加入されていた場合、遺族基礎年金をもらえなくなると受給できる遺族年金がなくなります。
それが「寡婦年金」や「死亡一時金」です。
第1号被保険者だった夫が、保険料納付済期間が10年以上あったにもかかわらず老齢年金を受け取らずに亡くなってしまった場合、その「妻」が受け取ることができる年金のこと。
寡婦年金の受給期間は、60歳~65歳になるまでです。寡婦年金は遺族基礎年金がない妻でも受給できることから、遺族年金の代わりとなると言えるでしょう。
寡婦年金についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
もし寡婦年金が対象外だった場合、死亡一時金が選択肢となります。
第1号被保険者だった方が保険料を納めた月数が36月以上ある場合で老齢年金を受け取らずに亡くなってしまった場合、生計を同じにしていた「遺族」が一時金を受け取ることができます。
この遺族は妻に限らず、配偶者や子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹が対象となります。
寡婦年金と死亡一時金は、どちらか一方のみの支給となりますのでご注意ください。
厚生年金の場合:特になし
亡くなられた方が厚生年金に加入していた場合。
基本的に遺族基礎年金の受給が終わっても遺族厚生年金をもらい続けることはできるため、国民年金と比べて手厚い保障といえるでしょう。
そのため、遺族年金が打ち切りになってしまえばそれまでであり、他にもらえるお金はありません。
特に(事実婚を含む)再婚を考えられている場合は、遺族年金が打ち切りになってしまうことも考慮しておくといいでしょう。
遺族年金が打ち切りになっても慌てないで!事前に制度を知っておこう
受給者の要件によっては期間限定で受給が終わるもの、また年齢制限等によって支給停止となるものもあります。
特に子の成長や再婚等によって生活が大きく変わる場合、それに伴って遺族年金ももらえなくなりますので注意は必要です。
ただ、制度を知っておけば「遺族年金が突然打ち切られた!」と慌てずにすみますよね。
遺族年金に限らず、年金の制度はやや複雑で分かりづらい印象がありますが、少しずつ要点を押さえておくといいでしょう。
当サイトでは、遺族年金やその他の年金について詳しく解説していますので、よろしければ参考にされてみてください。
遺族年金が受給終了となるケースには、「子が18歳の年度末を経過したとき」「30歳未満の妻が受給開始後5年を経過したとき」など、事前に終了が予想できるものがあります。
終了時期が決まっているケースに該当する場合は、あらかじめ終了を見越してライフプランを立てておくと良いでしょう。
日本年金機構、社労士法人勤務を経て開業。中小企業の労務管理に従事する一方、年金相談窓口や無料相談会などで年金相談を受けている。