住宅ローン借入額は年収の何倍くらいまで?限度額まで借りてOK?

住宅ローンを借りる時に注意したいのが、借りる金額です。銀行は貸し出すお金が多いほど儲かりますので、年収に対して多めの金額でも貸し出すことがあります。

しかし無理をして高額の住宅ローンを借りてしまうと、借金の返済が手一杯で苦しい生活を強いられることになりかねません。それではせっかくマイホームを買っても、喜びが半減してしまうでしょう。

このページでは、年収ごとにどれくらいの住宅ローンを借りられるのかを説明しています。また、どの程度の金額なら借りても問題ないのかも解説します。

住宅ローンの借入可能額は年収の何倍まで?

住宅ローンは、最大で年収の10倍程度まで借りられると言われています。そして、住宅ローンは年収の6倍までが適当、などとも言います。

しかしこうした数字は、住宅ローン借入額の指標として適切ではありません。

たとえば年収が500万円の人なら、最大で5000万円ぐらいまで借りられ、3000万円ほどを借りておくのが良いということになります。

しかし、借りたお金を何年で借りるかによって、まったく話が変わってしまいます。

3000万円を30年で返すなら、問題は無いでしょう。しかしローン期間を10年にしたらどうなるでしょう。年間返済額が300万円になり、返済不能になることが目に見えています。

年収の何倍っていう考えはよくないのね。じゃあ、何を基準にしたらいいのかしら?
年収に対する「返済負担率」で計算したほうが、正しい数値を導けますよ。

借入限度額とは?

「年収」×「返済負担率」×「借入期間」が、住宅ローンの借入限度額になります。

可能な返済負担率は、年収によって変わってきます。年収が多いほど、返済負担率を高く設定でき、収入が少ないと、低い割合にしかできません。

たとえば年収が500万円だと、返済負担率は35%くらいになるのが普通です。そのため毎年返済できるのは、500万円×0.35で、175万円が上限となります。

これにローンの年数をかけます。つまり20年ローンなら3500万円が借入限度額、30年ローンなら5250万円が借入限度額となります。

借入可能額の計算に関する注意点

前述の借入限度額には、金利が入っていませんでしたので、あくまで大まかな目安ということになります。

借入限度額を正確に知りたい場合は、金利を含めて調べなければいけません。この計算で使う金利には、貸出金利ではなく「審査金利」を選ぶ必要があります。

「審査金利」とは、住宅ローンの審査時のみに使われる特別な金利です。審査金利は4%程度と貸出金利よりも高く設定されていますので、その分借りられる金額が減ります。

フラット35の場合の借入限度額一覧表

住宅金融支援機構のフラット35は、以下のように返済負担率が明記されています。

年収 返済負担率
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

これを基準に、フラット35の借入限度額を出すと以下のようになります。計算時の金利は、2019年1月のものを適用しています。

また、フラット35は、物件価格に対する融資額が9割以下だと金利が安くなりますが、それは利用しないという前提で計算しています。

年収 25年ローン 30年ローン 35年ローン
300万円 1817万円 2093万円 2346万円
400万円 2826万円 3256万円 3650万円
500万円 3533万円 4070万円 4563万円
600万円 4239万円 4885万円 5475万円

民間金融機関の場合の借入限度額一覧表

民間金融機関の場合、返済負担率の基準を公表していません。しかし収入が多いほど返済負担率を高くできるのは、住宅金融支援機構と変わりません。

銀行によってある程度の差はありますが、返済負担率の目安は、以下のようになります。

年収 返済負担率
300万円未満 25%以下
300~400万円 30%以下
400~700万円 35%以下
700万円以上 40%以下

これを基準に、民間金融機関の借入限度額を出すと以下のようになります。金利は、審査金利として使われやすい4%で計算しています。

年収 25年ローン 30年ローン 35年ローン
200万円 789万円 872万円 941万円
300万円 1420万円 1570万円 1693万円
400万円 2210万円 2443万円 2634万円
500万円 2762万円 3054万円 3293万円
600万円 3315万円 3665万円 3952万円
700万円 4420万円 4887万円 5269万円

他の借り入れがあると借入可能額が大きく減る

自動車ローンやカードローンなど、他の借り入れがあると、住宅ローンの借入限度額が大きく減ります。

なぜなら、返済負担率で計算した年間借入可能額から、他のローンの返済額が引かれるためです。

たとえば年収500万円なら、可能な年間返済額は175万円です。しかし年間50万円の他のローンがあると、可能な年間返済額が125万円に減ってしまいます。

どれくらい借りられるお金が減るか、簡単に計算する方法はないんですか?
大まかな数値で良いなら、その他のローンの年間返済額×住宅ローンを借りる期間で、どの程度上限額が減るのかわかりますよ。
車のローンが年間50万円として、30年の住宅ローンを組むとしたら50×30で……1500万円?そんなに変わっちゃうんですか!?
大雑把に言うとそうです。だからその他のローンは、なるべく完済してから住宅ローンの審査に申し込んだほうが良いでしょうね。

借入可能と妥当な借入額は違う

今までの借入限度額は、ローンを組める限界をしめしているだけです。

ローン限度額が、妥当な借入金額とは限りません。どちらかと言うと、限度額まで借りてしまうと返済に苦労する可能性が高いでしょう。

住宅ローンは金利が安いから、限界いっぱいまで借りちまいたいんですがね。やっぱりマズイですか?
しっかりと返済プランを立てた上でなら、限度額まで借りるのも有りだとは思います。でもリスクもあるということは覚えておいてくださいね。

住宅ローンの返済負担率は限度より10%低いくらいに

年収で返済負担率が30%以下となっているなら、返済負担率20%で組む、35%以下が限界なら25%以下で組むというようにすれば、余裕を持って住宅ローンを組むことができます。

計算が面倒なら、このページの民間金融機関の借入限度額の表を参考にしてもらうのも良いでしょう。自分の年収よりも、1つ上の欄(100万円低い)を基準にすれば、それほど無理な借入額にはならないでしょう。

もともと民間金融機関の方の表は、高い審査金利で計算されているため、フラット35の表よりも余裕ができています。

頭金は多いほうが良いが無理は禁物

頭金が多いと審査に通りやすく、利息の支払いも減ります。しかし、貯金をすべて頭金につぎ込んだりするのは危険です。

住宅を購入するとさまざまな費用がかかりますので、貯金がなくなってしまうと、何かと問題が起こりやすくなります。

※頭金に関する特集記事はコチラ。

住宅購入にかかわる費用

まず住宅購入時には、「事務手数料」「印紙代」「団信費」などさまざまな諸経費がかかります。住宅ローンを組むときには、これらの諸経費分もしっかりと考えに入れておく必要があります。

また意外と忘れやすいのが、住宅購入後の費用です。

家のメンテナンス費用や「固定資産税」など、家を買ってからも、何かとお金がかかりますので、その分の余裕をみて住宅ローンを組みましょう。

年収ごとの返済負担率で無理のない住宅ローンを組もう!

住宅ローンの借入限度額は、年収によって決まります。年収が高いほど返済負担率を高く取れるため、限度額が大きく増えていきます。

銀行は限度額まで貸してくれる可能性がありますが、限度いっぱい借りるのは危険です。

家を買うとさまざまな費用が発生しますので、ある程度の余裕をみて借入額を設定しましょう。

監修者メッセージ

分譲マンションはローン返済以外に管理費と修繕積立金の支払いが毎月あります。戸建住宅には修繕積立金といった制度はありませんが、築年数が経過すると修繕費が必要になるのは当然。

ローン返済額+積立金を忘れないで下さい。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。

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