ネット銀行の住宅ローンは安いが意外な欠点も?
ちかごろは、買い物でもなんでもネット上からできるようになってきました。銀行も、その例外ではありません。住宅ローンの分野においても、ネット銀行がそのシェアを大きく伸ばしてきています。
しかしネット銀行の住宅ローンには、メリットだけではなくデメリットもあります。利点だけを見て飛びつかずに、リスクについても把握して選ぶようにしましょう。
このページでは、ネット銀行の住宅ローンについて説明しています。メガバンクの住宅ローンと比べてどう違うのかも解説します。
ネット銀行にはどんな特徴がある?
ネット銀行の一番の特徴は、実店舗を持たず、インターネット上のやり取りで手続きをおこなえるという事です。
ネット銀行の住宅ローンのメリットは?
前述の通り、ネット銀行は受付用の実店舗を持ちません。そのため、店舗の建設費や店に常駐する人員の人件費をカットすることができます。
ネット銀行は、経費を減らして浮いたお金を顧客に還元しています。ローンの「金利」を普通の銀行より低く設定してあるのです。
また、普通銀行の場合は、店舗が営業している平日昼間に時間を作って行かなくてはいけません。しかしネットの受付は24時間やっていますので、自分の都合に合わせて利用することができます。
ネット銀行の住宅ローンは相談できないというデメリットがある
大多数の人は、住宅ローンを一生に一度しか組みません。そうなると経験もないわけで、住宅ローンに詳しい人に相談してみたくなるのが当然でしょう。
しかしネット銀行は実店舗がないので、専属の担当者に住宅ローンについて相談するということができません。
これははじめての経験で戸惑っている人にとって、大きなマイナスになってしまう可能性があります。
ネット銀行の住宅ローンは審査が厳しく融通がきかない
ネット銀行は金利が安いのですが、その分審査基準が高くなっています。他の金融機関の住宅ローンでは審査に通る人でも、落とされてしまうことがよくあります。一定以上の年収がある人でないと厳しいでしょう。
また、経費を省くために画一化されたマニュアルで判定するため、審査の柔軟性にも欠けるところがあります。
たとえば普通銀行なら、「奥さんの収入を合算して申し込んだほうがいいですよ」などとアドバイスを貰える可能性があります。しかしネット銀行ではそうした手助けは期待できません。
※審査が不安な方はコチラで審査基準をご覧ください。
ネット銀行は信用状況に特に厳しい
普通の銀行でも、信用情報機関のブラックリストに載っていたりすると借入ができませんが、ネット銀行ではより厳しく信用情報がチェックされます。
ブラックリストまでいっていない、過去の延滞履歴などでも非常に高い確率で審査に落とされてしまいます。
また、延滞などが一切なくても、消費者金融を利用していると、それだけで審査で落とされてしまう場合すらあります。
本審査で落とされやすい
普通銀行の住宅ローンの場合、事前審査をクリアできれば、本審査も通過できるのが普通です。購入する物件の担保価値に問題があったりする場合は、結果が変わってしまうこともありますが、あくまでレアケースです。
しかしネット銀行の場合、事前審査で問題がないとされても、本審査でよく落とされます。
これはネット銀行の事前審査が、年収や借入額などが平均的条件をクリアしているかを調べているだけで、個別チェックを入念におこなってはいないからです。
ネット銀行の場合は、事前審査に通ったからと安心していると、後で大変な事になってしまう可能性が十分にあるのです。
事前審査と本審査の違いはコチラで解説しております。
ネット銀行は審査からお金が貸し出されるまでに時間がかかる
一般的に、ネット銀行は借り入れができるようになるまでに、かなりの時間がかかります。一ヶ月半から二ヶ月程度はかかると見ておいたほうが良いでしょう。
そのため、引き渡し期限がカッチリと決まっていて、代金支払い期間に余裕がない物件を購入する場合は、ネット銀行では難しい場合があります。
ネット銀行とメガバンクを比べるとどうなの?
ネット銀行とメガバンクを比べると、どのような差があるのかについて検討します。
- 費用。
- 利便性。
- 審査。
以上の3点について解説していきます。
費用はネット銀行が有利
前述の通り、「金利」はネット銀行の方がメガバンクより安い場合が多くなっています。
ネット銀行は「保証料」も無料のところが大多数です。対してメガバンクは借入額に対する割合で保証料が決まるため、高額なローンを組むほど保証料も増えてしまいます。
しかしネット銀行は、事務手数料を高く設定してある場合が多くなっています。事務手数料が借入額の割合で決まることが多いため、実質保証料の代わりに事務手数料を取っているだけ、というケースもよくあります。
ネット銀行 | メガバンク | |
---|---|---|
金利 | 安い | さまざま |
保証料 | 無料 | 高い |
手数料 | 高い | 安い |
保証料と事務手数料を合計すると、ネット銀行もメガバンクもそれほど大きな差はでません。しかし金利が安い分、総合的な費用を比較すると、ネット銀行のほうが安い場合が多くなっています。
事務手数料の問題点
ネット銀行は、保証料の代わりに事務手数料を多く取っています。実はこれは貸し手側が有利になる変更なのです。
保証料の場合、繰り上げ返済をすれば、返済期間が短くなる分の保証料が返ってきます。しかし事務手数料としてお金を取られている場合、そうしたメリットは一切ありません。
利便性はメガバンクが上回る
メガバンクなら、日本全国にある店舗の窓口で、住宅ローンに関する相談をすることが可能です。対してネット銀行は、すべて自分の力でなんとかしなくてはいけません。
申請から融資までにかかる時間も、メガバンクの方が早くなっています。
総合的な利便性を考えると、メガバンクに軍配が上がるでしょう。
ただしネット銀行には、自分の好きな時間に手続きができるという利点があります。どうしても昼間に時間を取れない人などにとっては、有り難いかもしれません。
ネット銀行の住宅ローンはどんな人に向いてる?
ネット銀行の住宅ローンでは、きめ細かい対応は期待できません。そのため、ネット銀行を選ぶなら、住宅ローンに関する手続きの事について、一通りの知識があることが望ましいと言えます。
必要書類や住宅ローンの流れがよくわかっておらず、調べる時間が取れない人は、メガバンクなどを利用したほうが安全でしょう。
高収入で住宅ローン審査を楽にクリアできる人はネット銀行向き
収入が十分にあって、公務員などの安定した職についていて、さらに延滞履歴などの信用事故が一切無い人はネット銀行を選ぶのも良いでしょう。
本審査で落とされるといったリスクが抑えられますので、試してみる価値はあります。
とにかく費用を抑えたいという人にも
とにかく費用を抑えたいという人なら、ネット銀行が有力な選択肢になるでしょう。
ネット銀行の場合は、手続きをすべて自分でやることになりますので、住宅ローン代行手数料などの出費も無くすことができます。
ただし、費用のことだけに目を向けて大きな契約をするのは、あまりおすすめできません。その他の条件も考え合わせて判断したほうが良いでしょう。
余裕がある人はネット銀行も検討したい
しかしネット銀行には、相談窓口がなく、メールなどでしか質問ができない、収入や信用情報など審査条件が厳しい、などの問題点もあります。
とにかく安いからネット銀行を選ぶ、というのはやめて、選択肢の1つとして検討するというようにしたほうが無難です。
ネット銀行は申込や金銭消費貸借契約のため、店舗に出かける必要がないのが大きなメリットです。金利が若干安いのも魅力です。
ただし決済の時は司法書士立会いのもと行うことと、売主への着金確認が必要なので、平日に、都合のよい銀行店舗か、売主または仲介業者の事務所に出向く必要があることを覚えておきましょう。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。