住宅ローンは本当に提携ローンでいい?メリットとデメリットをご紹介

家を買う人の中には、ハウスメーカーや不動産会社の「提携ローン」を利用している方もいます。

たしかに提携ローンは便利なものですが、デメリットもあります。住宅ローンを組むことは一生で何度も無い経験ですので、しっかりと情報を把握した上で選んだ方が後悔しないですむはずです。

このページでは提携ローンについて解説しますので、住宅ローンを組む時の参考にしてみてください。

ハウスメーカーや不動産会社の提携ローンとは?

ハウスメーカーや不動産会社と金融機関が、提携して提供している住宅ローンを「提携ローン」と言います。

どうしてこのようなローンがあるかというと、ハウスメーカーや不動産会社と銀行の双方に利益があるからです。

  • ハウスメーカーや不動産会社は、「自分のところで家を買えば、提携している銀行が融資してくれる」と言え、営業がしやすくなる。
  • 銀行は、提携しているハウスメーカーや不動産会社が客をつかめば、なんの労力もかけずに住宅ローンを組む顧客が手に入る。

提携ローンについての注意点として、本当にそれが提携ローンなのか、という問題があります。提携ローンというのは、ハウスメーカーや不動産会社と銀行がしっかりと契約をおこなっているものを示しています。

提携契約がない場合でも、ハウスメーカーや不動産会社は銀行のローンを勧めてきますが、それはただの紹介であって、きちんとした提携ローンのようなメリットはありません。

提携ってことは、もしかして銀行からハウスメーカーや不動産会社に、マージンが払わられているんじゃないですか?それでハウスメーカーや不動産会社は、バックマージンが高い銀行ローンを無理矢理勧めてくるんだ!
……まあ、絶対ないとは言えませんね。今どき、高額なマージンを支払っているような銀行は少ないと思いますが。

提携ローンの3つのメリット

提携ローンには、以下のような3つのメリットがあります。

  • 手間がかからない。
  • 優遇金利で借りられる場合が多い。
  • 審査が早い。
面倒が嫌いなオイラなんかは、提携ローンってのが便利そうに感じちまうなあ。
それならそれで構いませんよ。たしかに「楽」というのは、大きなメリットですから。

提携ローンは手間がかからない

提携ローンの場合、住宅ローン審査に必要な書類の提出や銀行との折衝を、ハウスメーカーや不動産会社の担当者がやってくれます。

もしも自分で住宅ローンを組もうとすると、すべての書類をそろえ、提出する作業も自分だけでおこなわなくてはいけなくなります。

銀行は平日しか営業していませんので、物理的に自己対応が不可能な事もあるかもしれません。どうしても休みが取れない人は、提携ローンを選ぶしかないでしょう。

優遇金利で借りられる場合が多い

ハウスメーカーや不動産会社と銀行の契約により、提携ローン専用の優遇金利が適用されることがあります。

借入額が大きく返済期間の長い住宅ローンでは、0.1%程度の金利の違いでも、数十万円以上の差となってあらわれてきます。

審査が早い

住宅ローン審査には、借り主の信用状況を確かめる「人物審査」と、物件の担保価値を確かめる「物件審査」があります。

提携ローンの場合、物件審査については、あらかじめハウスメーカーや不動産会社と銀行側で話がついている形になります。

そのため、住宅ローン審査が人物審査だけになりますので、審査にかかる日数が短縮されます。

ちなみに、ちゃんとした提携ローンではなく、ただの銀行ローン紹介の場合は、審査期間の短縮効果はありません。

提携ローンの5つのデメリット

提携ローンには、以下のような5つのデメリットもあります。

  • 顧客のために勧めるのではなく、業者の都合で勧められる。
  • 優遇金利が最安値とは限らない。
  • 団信などのサービス内容で劣る場合がある。
  • 審査に通りやすいわけでもない。
  • 余分な費用がかかる。

ハウスメーカーや不動産会社の都合で勧められる

通常、どのようなハウスメーカーや不動産会社に頼んでも、提携ローンを勧められます。

なぜかと言うと、その方が業者が「楽だから」です。

ハウスメーカーや不動産会社も、付き合いがない銀行と取引をするのは、手続きなどいろいろ面倒です。ですから、とにかく提携ローンを勧めるのです。

提携ローンが顧客にとって最良とは限らないのですが、その点は業者は考慮してくれません。業者にとって重要なのは、物件が売れる事と、スムーズにローンが組まれる事だけだということは理解しておきましょう。

もっと金利が安い住宅ローンが存在するかも?

たしかに、優遇金利をつけてくれる提携ローンはあります。しかしあくまでそれは、同じ銀行の中で比べた場合に、金利が安いという事に過ぎません。

すべての銀行で比較して、提携ローンの金利が一番安いという可能性はほぼ無いと考えて良いでしょう。

最近では、手間を省いた「ネット銀行」の金利が安いのですが、ほとんどの提携ローンでネット銀行は扱われていません。

団信などのサービス内容で劣る場合がある

昔の団体信用生命保険は、死亡時と高度障害状態だけが保証対象でした。しかし最近では、ガンや心筋梗塞などのさまざまな病気に対応した団信が増えてきました。

何も考えずに提携ローンで申し込んだ場合、こうしたサービス内容で劣っているという危険性があります。

その他、保証料や事務手数料などが高い事もありますし、総合的に見て損になる契約を結ばされることもありえます。

審査に通りやすいわけでもない

おそらく提携ローンを勧める時、営業マンは「〇〇銀行の提携ローンなら、うちと付き合いが深いから審査に通りやすいですよ」などと言います。

しかし、そのようなことで審査が甘くなったりはしません。

そもそもハウスメーカーや不動産会社に、銀行の住宅ローン審査に対する影響力などありません。ですから、本人の条件が整っていなければ審査で落とされます。

基本的には、提携ローンで審査に通るなら、普通の住宅ローンでも審査に通ります。

余分な費用がかかる

提携ローンに申し込めば、面倒な手続きの大部分はハウスメーカーや不動産会社の担当者がやってくれます。

しかしそのかわりに、「ローン代行手数料」などという名目でお金を取られることになります。

ローンの費用に関しては法律で厳しく定められていますが、ローン代行手数料に関しては決まりがありません(そもそもローンと関係の無い費用なので)。

そのため、ハウスメーカーや不動産会社が好きな値段をつけて費用を請求してきます。だいたい5万円から30万円程度を要求されることが多いでしょう。

ローン代行って何をやっているの?

数十万も請求されるローン代行手数料とは、どんな事をしているのだろう、と疑問に思った人もいるかもしれません。

じつはやっているのは、借り手が用意した書類を銀行に届ける事ぐらいです。

個人情報保護が重視される現代では、自分に関する書類は本人が動かなければ手に入りません。物件に関する書類などは、担当者が用意しますが、これは提携ローンを選ばなくても、業者が用意しなければいけないものです。

つまりローン代行手数料の是非は、数度の書類の運搬費に5~30万円の価値があるのかどうかという事になります。

提携ローンはどんな人向き?提携ローンを選ばないならやるべき事

提携ローンが勧められるのは、とにかく面倒なことが嫌いという人です。提携ローンを選んだほうが、確実に手間は減ります。

ただし金銭面だけで考えると、ほぼ確実に損をします。

このページを読んでいるということは、すでに面倒な事をやっているという証明です。ですから、なるべくならもう少し手間をかけて、自分で住宅ローンを決定する事をおすすめします。

提携ローンはお金を損するのね。面倒だけど、自分たちで住宅ローンを探してみようかしら……。
費用を重視するなら、その選択はありだと思いますよ。ただ、提携ローンを使わない場合に注意すべき事もありますから、そこは知っておいてくださいね。

銀行に話を通しておく

提携ローンの場合、ハウスメーカーや不動産会社は、住宅ローン審査の状況をある程度把握できます。審査に通るという情報が得られれば、安心して取引を進められるというわけです。

しかし顧客が選んだ銀行の場合、ハウスメーカーや不動産会社には審査状況がさっぱりわかりません。たとえハウスメーカーや不動産会社が銀行に審査状況を尋ねても、銀行は決して教えたりしないのです。

ですから自分で銀行を選ぶ時は、銀行の担当者にハウスメーカーや不動産会社の連絡先を教え、審査状況を話して良いと、あらかじめ伝えておく必要があります。

銀行から来た書類はすぐにハウスメーカーや不動産会社にも見せる

住宅ローンの事前審査に通ると、銀行から承認書を渡されます。この承認書は、すぐにハウスメーカーや不動産会社の担当者に見せるようにしてください。

事前審査に通ったという確認以外にも、専門家でなくてはわからない情報の確認をしてもらうという目的があります。

たとえば、確かに事前審査には通ったけれど、実はローンに付帯条件があったというようなケースもありえます。

取引が進んでから、このような条件が明らかになると大変ですので、すぐに確認してもらうべきです。

楽を選ぶなら提携ローン!出費を抑えたいなら自分で選ぼう

どのハウスメーカーや不動産会社でも、最初に勧められるのは、提携ローンです。

提携ローンを選べば、担当者が手続きをしてくれるため、必要な手間を少なくすることができます。

ただし金銭的には損をしますので、手間と出費のどちらを重視するか、よく考えてから選択しましょう。

監修者メッセージ

提携ローンでも一般のローンでも、最も大切なのは「金利タイプ」の選択です。

自分の納得のいく住宅ローン商品を選ぶことを最優先にすべきでしょう。

審査申込手続きについては、銀行はローンプラザなど日曜営業の窓口を設けているケースもあり、提携ローンを優先する理由はなくなっています。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。

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