住宅ローンのつなぎ融資はどんな場合に使われる?その注意点は?
せっかくマイホームを持つなら、できれば自分の思い通りの家を手に入れたいものです。その希望を叶えるのが「注文住宅」ですが、じつは注文住宅には意外な問題点があります。
注文住宅の場合は、着手金などの支払いがあるため、「つなぎ融資」を使わなくてはならない事が多いのです。
このページでは、住宅ローンとつなぎ融資の関係について説明していきます。またつなぎ融資で注意したいポイントについても解説します。
つなぎ融資とはどんなもの?
まず前提として、住宅ローンの貸し出し時期について説明します。
住宅ローンは、物件を担保に貸し出しがおこなわれます。そのため、貸し出しは、物件の引き渡し後となります。
つまり、物件完成までにお金が必要な場合、住宅ローン以外で工面する必要があるということです。こうした場面で使われるのが「つなぎ融資」です。
つなぎ融資はこんな場合に使われる
つなぎ融資が必要になるのは、おもに「注文住宅」です。
注文住宅の場合、完成までに土地購入費や着工金、中間金といった費用がかかります。こうした費用をまかなうのに、つなぎ融資が必要になります。
また例は多くありませんが、建売住宅などで、引き渡し日が融資実行日よりも早い場合も、先に支払いがあるために、つなぎ融資が必要になります。
つなぎ融資の流れ
つなぎ融資は、以下のような流れでおこなわれます。
- 1.つなぎ融資の申込書類を金融機関に提出する。
- 2.住宅ローンの内定後、担当から連絡がくる。
- 3.担当から送られた書類に記入して、書類を郵送する。
- 4.つなぎ融資の実行日が確定する。
- 5.担当から送られてくる確認書を確認し、返信する。
- 6.じっさいに融資がおこなわれ、必要な支払いをする。
着手金、中間金などで、つなぎ融資を複数回使う場合、そのたびに3~6の工程を繰り返す必要があります。
つなぎ融資で注意したい5つのポイント
つなぎ融資には、以下のような5つの注意点があります。
- つなぎ融資には金利などの費用がかかる。
- つなぎ融資と住宅ローンは、同じ金融機関を選ばないといけない。
- つなぎ融資には連帯保証人が必要。
- つなぎ融資に団信は適用されない。
- 建築日数が増えれば利息も増える。
つなぎ融資には金利などの費用がかかる
住宅ローンは非常に低金利ですが、つなぎ融資には通常の金利がかかります。銀行にもよりますが、今なら「3%」くらいが1つの目安となるでしょう。
また住宅ローン用とは別に、つなぎ融資用の諸経費がかかります。
諸経費には、利息以外に「事務手数料」や、「収入印紙代」があります。また、つなぎ融資は無担保のローンですので、「保証料」が別途必要になるケースもあります。
つなぎ融資と住宅ローンは同じ金融機関になる
通常、つなぎ融資は住宅ローンの契約が前提となります。つまり、住宅ローンとつなぎ融資は、同じ金融機関を利用しなければいけないということです。
つなぎ融資を扱っている金融機関は、あまり多くないため、選択肢が少なくなります。また計画段階で、お目当ての銀行が、つなぎ融資を提供している事を確認する必要があります。
つなぎ融資には連帯保証人が必要
住宅ローンに保証人は不要ですが、つなぎ融資には連帯保証人が必要とされます。これはつなぎ融資が無担保のローンだからです。
連帯保証人になってくれる人がいなければ、つなぎ融資を受けられません。
つなぎ融資に団信は適用されない
住宅ローンは団信により、債務者が亡くなったり高度障害状態になった場合の保証がされています。
しかし団信は、つなぎ融資には適用されません。
もしもつなぎ融資を受けている期間に、主債務者が死亡してしまうと、つなぎ融資の分の負債がそっくり残ってしまいます。
※「団体信用生命保険」を知らない方は要チェック!重要です。
建築日数が増えれば利息も増える
つなぎ融資には高めの金利が適用されるため、返済までの日数が増えるほど、利息も膨れ上がってしまいます。
購入した土地の状態や、天候の関係などで、家の完成日が遅れてしまうというのは、それほど珍しい事でもありません。
つなぎ融資を受けるときには、家の引き渡し日が遅れた場合に、違約金を貰えるような契約をしておく、等の準備をしておいたほうが無難です。
つなぎ融資の前に試しておきたい4つの方法
つなぎ融資を決定する前に、以下のような4つの事を確認しておきたいところです。もしかしたら、より出費を抑えられる方法があるかもしれません。
- 支払い時期を遅らせれられればお得。
- 自己資金投入で利息を減らせる。
- 分割融資という対応をしてくれる金融機関もある。
- 他に資産があればつなぎ融資無しでも可能。
支払い時期を遅らせればお得
注文住宅で、着工金や中間金などが必要になるのは、建築後に代金を支払ってもらえないというリスクを、業者側が減らすためです。
着工金などの金額や、支払い時期は、ルールで決められたものではありません。もし担当する工務店などと信頼関係があれば、出費を抑えられる形にできる可能性があります。
先に払う金額をなるべく少なく、支払い時期をなるべく遅くできないか、業者と話し合ってみるのが良いでしょう。
工務店の中には、家の完成後に一括返済してくれればそれでいい、という方法で契約をおこなっているところもあります。
自己資金投入で利息を減らせる
利息が高いつなぎ融資は、なるべく減らしたほうが利益が大きくなります。なるべく自己資金を使って借り入れを減らせば、払う利息も減ってお得です。
特に最初におこなう土地購入は、その後の利息がかかる日数が長くなります。できるなら、自己資金で購入をすませたいところです。
分割融資という対応をしてくれる金融機関も
金融機関の中には、注文住宅用に「分割融資」という対応をしてくれるところもあります。分割融資をしてもらえるなら、つなぎ融資は不要になります。
ただし、分割融資でも、先に借りるお金に対しては、利息が発生します。しかしその利息が安い住宅ローン金利で計算してもらえるのが、大きなメリットになります。
他に資産があればつなぎ融資無しでも可能
つなぎ融資が必要になるのは、担保対象となる物件が完成していないからです。
逆に言えば、購入予定の物件の他に、土地や建物などの資産を持っていれば、それを担保として初期費用の借り入れができるという事になります。
十分な資産を持っているなら、つなぎ融資の前に、資産を担保とした融資を検討してみるべきでしょう。
つなぎ融資は賢く使って出費を抑えよう
しかしつなぎ融資は、利息や諸経費などの出費が増える方法です。なるべくなら、つなぎ融資を使わないで済む方法を探すか、つなぎ融資で受ける融資を抑える方向で考えたほうが良いでしょう。
土地を買って注文住宅を建てる場合、土地所有権移転の後、建築工事を開始します。
その為、土地購入費用をつなぎ融資で組むケースが多いのですが、分割融資する金融機関も増えており、金利の高いつなぎ融資の利用は減っています。
工事代のつなぎ融資については、トラブルの原因になるケースもあり慎重にしたいですね。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。