遊休地を活用する6つの方法とそれぞれのメリット・デメリット

土地の売却 2019.08.21

遊休地は所有するだけで、毎年多くの固定資産税や都市計画税が発生します。

そんな遊休地を上手く活用できれば、税額の負担を上回るほどの収益を得られる可能性も。

ただ土地活用には多少のリスクもあり、どのような運用が自身にとってベストなのか、迷ってしまう人も多いですよね。

当記事では、遊休地におすすめしたい6つの活用方法とそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。

土地活用を成功させるポイントも併せて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

そもそも遊休地とは?活用の必要性を所有する問題から考える

遊休地とは、土地を取得してから2年以上どのような用途(宅地や農地など)にも使われていない土地のこと。

所有する土地を「遊ばせている」「休ませている」という意味が含まれています。

遊休地をそのままにしておくことで起こる深刻な問題は、次のとおり。

遊休地の所有で起こる問題
  • 固定資産税や都市計画税がかかる
  • 近隣住民に大きな迷惑がかかる
  • 管理の手間や費用がかかる

まず土地を所有していると、毎年の固定資産税や都市計画税の支払いが必要です。

しかも遊休地は宅地のように固定資産税の優遇を受けられないため、毎年数十万~数百万円の税金を支払わなければなりません。

ただ遊ばせているだけの土地に、これだけの税金が毎年かかっているのは非常にもったいないですよね。

たとえば・・・

固定資産税評価額3,000万円の更地を所有する場合

固定資産税 3,000万円✕1.4%=42万円
都市計画税 3,000万円✕0.3%=9万円

毎年50万円以上の税金を自治体に支払うことに。

10年間そのまま所有し続ければ、なんと累計額は約500万円以上!

また遊休地をそのまま放置すると、雑草が生い茂って害虫が発生したり、不法投棄ゴミが増えたりといった問題が発生。

所有者だけでなく、近隣住民にも大きな迷惑がかかります。

遊休地の放置による二次被害を防ぐためにも、定期的な除草作業や害虫駆除、ゴミ処理などの管理が必要です。

当然、そのような管理における手間や費用もかかります。

遊休地は所有するだけでも、多額の税金や労力が必要に。

今後土地を手放すつもりがなければ、早い段階で運用を始めるのがおすすめです。

遊休地を活用する6つの方法とその効果や注意点を徹底分析!

「いざ遊休地の活用をしよう!」と思っても、どんな方法があるのか?はたして効果はあるのか?といった点が気になるところ。

そんな土地活用に関する疑問を解消すべく、この章では6つの方法とあわせてそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

自身の目的やライフスタイル、土地の特性に合わせたベストな活用方法を見つけましょう。

遊休地のおもな活用方法は次のとおり。

遊休地の活用におすすめな6つの方法

ではそれぞれの活用方法や注意点について、詳しく見ていきましょう。

【遊休地の活用方法その1】太陽光発電

遊休地に太陽光パネルを設置して、そこで発電した電力を電力会社に買い取ってもらい利益を得る方法です。

太陽光は固定価格買取制度(FIT)によって、1kWあたり〇〇円と毎年固定の価格で売電が可能です。

また賃貸住宅や駐車場経営と違って、維持管理費や空室リスクの心配がいりません。

そのため人が集まらない地域でも、毎年安定した収入を得られるメリットがあります。

ただその土地の気候や日照条件、環境によっては十分な電力を集められないケースもあるので、事前に太陽光発電の適正チェックが必要です。

また太陽光発電設備の設置や土地の造成に、数百万~数千万円の初期投資がかかります。

売電価格や設置費用、そもそも設置するは可能なのかといった点など、その土地が本当に太陽光発電にふさわしいかどうか、業者にもよく相談して検討しましょう。

【遊休地の活用方法その2】駐車場経営

駐車場経営最大のメリットは、初期費用を最小限に抑えられることです。

とくに青空駐車場の場合は建物や設備を設置したり、土地を整地(アスファルト舗装)にしたりする必要がなく、誰でも手軽に始められます。

もし駐車場経営で十分な収益を得られなかったとしても、すぐにほかの活用方法に変更できる点も魅力的です。

ただ駐車場経営は税金の優遇措置を受けられないため、ほかの方法に比べて利益を出しづらいというデメリットがあります。

固定資産税額は立地条件が良いほど高額になるため、税額から賃料を差し引くとほとんど収入が残らないケースも珍しくありません。

駐車場経営をおこなう際は「遊休地を〇〇として活用するまで」のように、期間限定でおこなうのがおすすめです。

駐車場経営詳しい方法やメリット・デメリットは、次の記事を参考にしてください。

【遊休地の活用方法その3】トランクルーム

トランクルームのメリットは賃貸住宅やビル投資に比べて初期投資が少なく、不整形地や狭小地でも効率よく活用できる点です。

費用のメインとなるコンテナ代は1基あたり100万円ほど。業者によっては期間限定でコンテナをレンタルすることもできます。

また利用者の荷物置き場を提供するトランクルーム経営は、維持管理費がほとんどかかかりません。

ただし地域によっては、トランクルームを設置できないという注意点も。

倉庫を建てられない地域は、以下のとおりです。

トランクルームを建設できない地域
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種住居専用地域※
  • 田園住居地域
※倉庫業を営まない倉庫は建設可
所有する遊休地の用途地域は、事前に役所で確認しておきましょう。

【遊休地の活用方法その4】賃貸住宅経営

賃貸住宅経営は多額の初期費用が必要ですが、運用が上手くいけば大きな収益性を見込めるハイリスクハイリターンの活用法。

経営にあたり空室や維持管理費、住民トラブルといったあらゆるリスクを想定し、それらに対応できる能力が必要です。

その分軌道に乗ってしまえば、安定した家賃収入を得られるのが賃貸経営最大の魅力といえます。

不動産会社主催のアパート経営セミナーや勉強会に、一度足を運んでみてもいいかもしませんね。

賃貸住宅経営に必要な費用の内容や金額について、次の記事で詳しく解説しています。

【遊休地の活用方法その5】定期借地

定期借地とは所有する遊休地を一定期間貸し出して、借主から土地代を得る活用方法です。

貸し出し期間中は、安定した地代収入を得ることが可能。

借主が建物を建てて住宅用地として運用した場合は、固定資産税を大幅に軽減できるメリットがあります。

ただし定期借地の契約期間は最低でも10年。

さらに一般定期借地権の場合は、50年以上もの期間にわたって土地を貸し出さなければなりません。

定期借地は将来的に利用する予定のない遊休地を低リスクで有効活用したい人におすすめです。

【遊休地の活用方法その6】土地売却

遊休地を運用する際はどの方法においても、資金や基礎知識、管理の手間がかかります。

また固定資産税の優遇が受けられても、税負担を完全に無くせるわけではありません。

今後遊休地を利用しないのであれば、思い切って土地を手放すことも検討しましょう。

土地を売却して現金化すれば遺産を分割しやすくなるため、相続人同士のトラブルを防げるメリットも。

「所有する遊休地がいくらで売却できるのか?」不動産会社に査定を依頼して、おおよその相場を把握できます。

不動産会社を通じて土地を売却する流れや方法は、次の記事「土地の売却の流れや注意点など分かりやすく解説!」を参考にしてください。

国土交通省HPや各不動産ポータルサイトを利用すれば、自身で土地の相場を調べることも可能です。

自分で不動産相場を調べる方法や手順は、次の記事で詳しく解説しています。

遊休地の活用ポイントをおさえて最適な方法を選択しよう!

遊休地を活用するうえで大切なのは「どのような目的で収入を得たいのか」目標や希望をしっかり決めておくこと。

「固定資産税や相続税の資金を作りたい」ケースと「老後に安定収入を得たい」ケースでは、それぞれに適した活用方法が異なるからです。

土地活用の方法は、目的によって変わる

たとえば固定資産税を少しでも減らすことが目的であれば、リターンの少ない駐車場経営でも十分な対策だと考えられます。

節税効果を得るために大きなリスクを背負ってまで、賃貸住宅経営をする必要はありませんよね。

また所有する遊休地に「新しい建物を建ててもよいか?」「用途地域による建設制限はないか?」といった、その土地の法規制を調べることも重要です。

法規制を事前に把握することで、自身の土地に適した活用方法を限定できます。

その土地にどのような法規制があるのか、役所の窓口や自治体のHPで確認することが可能です。

土地活用の種類や選び方については、次の記事でも詳しく紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。

遊休地を上手く活用するために正しい知識を身につけよう!

遊休地は所有者に対する納税負担だけでなく、害虫や不法投棄ゴミ等による近隣トラブルにもつながる恐れがあります。

所有するだけではあまりメリットのない遊休地。今後も手放す予定がなければ、早期からの運用がおすすめです。

遊休地の活用には、太陽光発電や駐車場経営などのさまざまな方法があります。

活用法選びのポイントは「なぜ遊休地を活用したいのか」運用の目的をはっきり決めておくことです。

あいまいな動機で運用を始めてしまうと、誤った判断をする可能性が高く、なかなか満足のいく結果を出せません。

今後も土地を使う予定がなく、あまりリスクを犯したくないという場合は遊休地の売却もひとつの手段といえます。

遊休地活用の目的をはっきりとさせたうえで、土地環境や自身の状況に最適な方法を見つけましょう。

※記載の情報は2019年8月現在のものです。

監修者メッセージ

市街化区域内の遊休地については、所有者のかたはもちろんですが、自治体でも活用方法を検討します。都市計画法の「遊休土地転換利用促進地区」や国土利用計画法の「遊休土地制度」による活用促進など、これまでに運用された事例があります。

今後は生産緑地の指定解除により300㎡以下の遊休地が増えると考えられます。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。

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