マンションの1階が売れない理由は?良い条件で売却する方法を紹介

友達が転勤で引っ越すそうです。いま住んでいるマンションを売りたいそうなんですが、「1階だから売れないかも」って心配しています。
そういえば、妻も「虫が入りやすいから、1階には住みたくない」って言ってました。
それにマンションによっては、部屋に入るところが丸見えよね。プライバシーや防犯面にも不安があるわ・・・。
しかしマンション1階にはメリットも多いです。必ずしも売れないとは限りませんよ。
マンション1階のメリットは、次のとおり。

・水回りトラブルや騒音などで、他の住民に迷惑がかかりにくい
・落下事故などのリスクが低い
・移動、荷物や家具の運搬がラク
・物件によっては専用庭がある

このような物件を求めているターゲット層へ「1階の良さ」をしっかり伝えれば、良い条件での売却も期待できます。

この記事では、マンションの1階が売れないとされる理由について解説。1階ならではのメリットとそれを活かして売る方法もお伝えします。

マンションの1階は本当に売れない?その理由を見てみよう

そもそもマンションの1階が売れないって本当なのかな?
物件の状況・買い手の希望条件などによりますが、「1階だからやめておこう」と避けられることがあるのは事実です。

マンションの1階には、次のようなデメリットがあります。

マンションの1階が売れない理由
  1. 虫が侵入しやすい
  2. 日当たりが悪い
  3. 眺望が悪い
  4. プライバシーを守りづらい
  5. 防犯面で不安に思われやすい
  6. 水害の影響を受けやすい
  7. 騒音や排気ガスが気になりやすい
えっ!こんなにあるんですか?
物件によって、これらのデメリットがどの程度該当するかは異なります。次の章から、詳しい内容をお伝えしますね。

マンション1階が売れない理由1、虫の侵入

マンションの1階は、蚊やゴキブリなど虫が侵入しやすいです。そのため高層階に比べ、防虫剤などの虫対策を徹底しなければならない場合もあります。

マンションの1階は虫が入りやすいので売れない場合がある

マンション1階が売れない理由2、日当たりが悪い

マンションの構造によっては1階の日当たりが悪いため、次のように「住みにくい」と感じる場合も。

  • 部屋が暗い
  • 洗濯物が乾きにくい
  • 冬は寒い
部屋が暗いと照明の点灯時間は長くなり、冬が寒いと暖房の使用期間が長くなる可能性があります。そのため日当たりの悪い部屋は電気代が高くなる恐れもあるのです。

マンション1階が売れない理由3、眺望が悪い

マンション購入希望者のなかには、「眺めのいい部屋で暮らしたい」という人もいます。

しかし1階は高層階に比べると眺望が悪いです。

マンションの1階は眺めが良くないので、売れない場合がある

もちろん、マンションが高台にあるとか、場所によっては1階でも見晴らしがいい場合もあります。

マンション1階が売れない理由4、プライバシー面が不安

マンションの1階は、プライバシー面で不安がある人に選ばれにくいです。

1階だと帰宅時に外から見られやすく、自分の住んでいる部屋を特定されやすいです。

またマンションの構造によっては部屋の中を見られやすく、四六時中カーテンを閉めて生活しなければならない場合もあります。

マンション1階が売れない理由5、防犯性が低い

マンションによっては次のように、1階ほど危険な目に遭うリスクが高くなることも。

マンション1階の危険性
  • 空き巣が入りやすい
  • 外から洗濯物が見えてしまう
  • 死角など、人目につきにくいと犯罪に遭いやすい
  • 犯行後すぐ逃げられやすい
  • タバコの吸い殻などを投げ入れられる可能性もある

そのため女性がひとり暮らしする場合などは、マンションの1階が選ばれないことも多いです。

ただしオートロックなどの設備があれば、1階でも不安に思われにくいため売りやすくなります。

マンション1階が売れない理由6、水害の影響を受けやすい

マンションの1階は浸水しやすいため、水害の影響を受けやすいのもデメリットです。

災害といえば・・・マンションの1階って、地震の影響も受けやすいんですか?
それは建物の構造や築年数などにもよるので、何ともいえません。

ただ「高層階よりも揺れ方が弱い」という住人の体感的な話もよくあるようです。

マンション1階が売れない理由7、騒音や排気ガス

マンションに住んだことのある方なら、「生活音・騒音は上の階から伝わりやすい」ということをご存じかと思います。

1階に住むと、上の階の住人によっては騒音を受けやすいです。

また交通量の多い道路に面している場合は「車の騒音や排気ガスが気になる」という理由で、なかなか売れないケースもあります。

マンションの1階にはメリットも!売却時のアピールポイントとは

マンションの1階には結構デメリットがあるんですね。人によっては「住みたくない」と思うのが、よくわかりました。
だからといって「マンションの1階は売れない」というわけではないんです。次のような理由で、1階の物件を探している人も多いんですよ。
マンション1階のメリット
  1. 自室からの騒音を気にする必要がない
  2. 水回りのトラブルで、住民に迷惑がかかりにくい
  3. 事故が起きるリスクが低い
  4. 移動距離が短くてラク
  5. 専用庭がある

では、これらのメリットについても見ていきましょう。

マンション1階のメリット1、騒音を気にする必要がない

マンションに住む場合、足音などの騒音は上から下へ響きます。

そのため1階なら、自室からの騒音によるトラブルが起きにくいです。

「騒音で下の階に迷惑をかけていないかな・・・」と気にする必要がないので、2人以上で暮らす人・小さい子どもがいる人に適しています。

ただし「音が近隣にまったく伝わらない」というわけではないので、配慮は必要です。

マンション1階のメリット2、水回りトラブルで迷惑をかけにくい

マンションの1階なら、水回りのトラブルで下の階に迷惑をかけることは滅多にありません。

同じマンションの人とのトラブルは避けたいから、こちらが迷惑をかけなくて済むなら助かります。
配管の経年劣化による水漏れなど、下階に水害を引き起こすというトラブルも珍しくありません。

水回りのトラブルで下の階に被害が及ぶと、多額の損害賠償を請求されてしまう恐れもあるんですよ。

水回りのトラブルはいつ起きるかわかりません。そのため1階に住むことでリスク回避するのも1つの手です。

マンション1階のメリット3、落下事故などのリスクが低い

マンションの高層階だと、子どもが転落事故を起こしたり、物を落として人・車などに当たったりなどの事故が発生しやすくなります。

しかし1階に住んでいれば、そのようなトラブルは起きにくいです。

だからといって目を離すわけにはいきませんし、1階でもケガや事故の危険性はありますが、少しでも安全な場所だと安心ですよね。

マンション1階のメリット4、移動距離が短く通勤・荷物運搬もラク

マンションの1階は、移動距離の短さもメリット。主に次のようなときに利便性を感じられます。

マンション1階の利便性を感じるとき
  • 荷物などの運搬がラク
  • 外出・帰宅時のエレベーター待ちをしなくていい
  • エレベーターがなくても不便に感じない
  • エレベーターの故障や点検時にも不便に感じない
  • 引っ越し時に料金を安く抑えられることがある
そういえば会社に行くとき、エレベーター待ちで遅刻しそうになることが多いんだよなぁ。1階に住めばよかったよ。
マルピーさんの場合は、時間に余裕を持って家を出る必要がありそうですね・・・。

マンション1階のメリット5、専用庭を自由に使える

マンションによっては、1階に専用庭がついている場合も。専用庭は、次のようなことに活用できます。

専用庭の活用方法
  • 子どもの遊び場にする
  • ガーデニングをする
  • 家庭菜園をする
  • 洗濯物を干す
  • 収納スペースにする

また人目が気にならない場合は、テントを張って「お庭キャンプ(おうちキャンプ)」をすることも可能です。

ただし人によっては「人目が気になるから何もできない」「手入れが大変」「上から物が落ちてくる」など、デメリットに感じることもあります。

マンションの1階を早く・高く売るコツ

マンションの1階には、メリットもあるとわかって安心しました。でも「売れない」というイメージを持つ人は多いから、やっぱり売れるかどうか心配だよなぁ・・・。
マンションの1階を売却する際には、1階ならではのメリットを、オススメすべきターゲット層にアピールすることが重要です。最後に、良い条件で売るためのコツをお教えしますね。
マンション1階を良い条件で売却するコツ
  1. 自分に合った不動産会社と媒介契約する
  2. 1階ならではのメリットを伝える
  3. 1階を売りやすいターゲット層を把握する

【1】不動産会社をしっかり選んで、マンションの売却成功に繋げよう

不動産会社と媒介契約して売却を行う場合、「どの不動産会社(営業担当者)に依頼するか」で売却期間の長さ・価格が左右されるといっても過言ではありません。

いい不動産会社がどこかなんて、どう判断すればいいんですか?
売主やマンションによって、相性のいい業者は異なります。自分に合った不動産会社は、次のポイントを基準に選びましょう。
不動産会社を選ぶポイント
  • マンション売却が得意か
  • 担当者の態度・仕事ぶりはいいか
  • 大手と地域密着型、どちらがいいか

不動産会社によって「賃貸の仲介」「都市開発」など、得意な分野は異なります。そのためマンションを売る場合は「マンション売却に強い不動産会社」を選びましょう。

また同じ不動産会社でも、担当者によって態度・仕事ぶりが多少は異なるもの。「相談しづらい」「売却活動に熱心でない」などと感じた場合は、担当者を変更するのも1つの手です。

不動産会社は営業担当者の対応・態度で選び、合わなければ担当者変更も検討する

なるほどね~。とりあえず、近所の有名な不動産屋さんを選べばいいかなって思ってました。
大手企業・地域密着型の企業には、次のようにそれぞれ異なる強みがあります。自分に合うほうを選びましょう。
大手・地域密着型の強み
大手 ・情報提供の範囲が広い
・経営面のリスクが少ない
・広告費を多くかけられる
地域密着型 ・地域の特性を理解している
・親身になってくれやすい
・融通が利きやすい

大手不動産会社と地域密着型(中小企業)の違い

不動産会社の選び方について、さらに詳しい内容は次の記事をご覧ください。

また一括査定サイトを使えば、査定結果からマンションの価格の目安を把握でき、不動産会社選びの判断材料にもなります。

メリットやデメリット、活用法については「
おすすめ不動産一括査定サイトを紹介」を読んでみてくださいね。

【2】マンション1階ならではのメリットをしっかり伝えよう

前の章でお伝えしたように、マンション1階にはメリットも多いです。

物件の構造や立地などを把握し、「アピールできる部分」「特にオススメしたい部分」を自分でも確認しておきましょう。

不動産会社のポータルサイト・チラシなど、物件情報に記載してもらうと、買い手の興味を引きやすくなります。

売主自身が住んでいたのであれば尚更、住み心地や利便性をよく知っているはず。内覧の際に、直接伝えるのも効果的です。

マンション売却における内覧の流れ・注意点などについては、「売却したい物件の内覧で好印象を与えるポイントや注意点を紹介!」で詳しく解説しています。

【3】マンションの1階は誰にオススメ?ターゲット層を把握しよう

マンションの1階は、メリットから考えると次のような買い手にオススメ。

マンション1階がオススメの人とその理由
<小さい子どもがいる人>
・自室からの騒音が比較的気にならない
・専用庭で子どもを遊ばせることが可能

<高齢者>
・自室までの移動距離が短いのでラク

<専用庭がほしい人>
・ガーデニングや家庭菜園などができる

このような人にマンション1階のメリットを伝えれば、物件を気に入ってもらえる可能性が高いです。

また買い手の希望条件などによっては、高額での売却も期待できます。

当サイトでは不動産売却(マンション売却)の流れや、手順ごとの注意点・賢く売るコツなどを解説しています。詳しくは「不動産売却の流れを分かりやすく解説!」からご覧ください。

マンション1階は売れないわけじゃない!特徴を活かして売却しよう

マンションの1階に対して「売れない」というイメージを持つ人もいます。

しかし買い手の年齢・家族構成などによっては、1階だからこそ「買いたい」と思う人もいるのです。

自分のマンションはどのようなターゲット層に需要があるのか把握しておけば、「売却期間が長くなる」「必要以上に値下げしなければならない」などのリスクを避けやすくなりますよ。

マンションの1階は、高層階に比べ安い傾向にあります。そのため条件さえ合えば、購入者にとってもいい買い物になるはずです。

1階の良さをしっかり伝え、デメリットについての不安を解消することで、双方が後悔しない売買契約につなげましょう。

監修者メッセージ

「マンションの1階は売れづらい」という意見を耳にすることは、確かにあります。
でも、「1階だから・・・」と諦めてしまうことは早計です。
1階ならではの良さはもちろんあり、その良さを求める人も確実に存在します。
不動産業者とじっくり相談し、売主・買主の双方が納得のいく取引ができるよう、がんばりましょう。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(吉田成志)
吉田成志
宅地建物取引士、マンション管理士、消防設備士などの資格を保有。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。

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