マンションの寿命はどう考える?寿命が来る前の売却も検討しておこう
最初にこの記事の要点をまとめておきますね。
- マンションによって寿命の長さは違う
- マンションの状態は「インスペクション※」で調べられる
- マンションは寿命が近づくほど価格が目減りする傾向にある
- 建て替えできない可能性も高いため、寿命がくる前の売却も検討すべき
ではマンションの寿命が気になる人向けに、寿命の考え方や、寿命を迎えるマンションはどうなるか、どうすべきかなどお伝えしていきます。
マンションによって寿命は異なる!寿命に影響する6つの要因とは
国土交通省の「RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例」には、次のような研究結果も記載されています。
(篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川宗夫・三浦勇雄(1974)「約50年を経過した鉄筋コンクリート造の調査」日本建築学会学術講演梗概集)
・実際の建物の減耗度調査のうえ、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定。
( 飯塚裕(1979)「建築の維持管理」 鹿島出版会)
・鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる。)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。
(大蔵省主税局(1951)「固定資産の耐用年数の算定方式」)
・固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果(2011年調査)、RC系住宅は68年、RC系事務所は56年。
(小松幸夫(2013)「建物の平均寿命実態調査」)
主に次のようなマンションは、比較的寿命が長いといえるでしょう。
- 十分な管理・メンテナンス
- 修繕に適した構造・設計
- 設計時の強度が高い※
- 劣化しづらい立地
- 耐震性が高い
- 使い方や手入れ方法に問題がない
マンションが新耐震基準・旧耐震基準のどちらで建てられたか確認する方法や、旧耐震基準で建てられた物件のデメリットについては、別記事「築年数が古いマンションは、新耐震基準に適合しているか確認しよう」を読んでみてください。
『法定耐用年数』はマンションの寿命じゃない!意味を理解しておこう
法定耐用年数(耐用年数)とは、国税庁が定めた「減価償却を行う期間」のことです。
土地は「時間の経過による価値の減少はない」とされるため、減価償却されません。そのため建物の残存価値がゼロになったとしても、土地の価格(敷地権や借地権)を含んだ値段で売却することが可能です。
マンション(鉄筋コンクリート造)の場合、法定耐用年数は47年。これを超えると、建物自体の価値はゼロになります。
耐用年数を過ぎると、住宅ローンなどを組みマンションを購入しようとしても、担保価値が認められず融資を受けられないケースも。
あくまで「資産価値的な視点から見た寿命」と考えましょう。
またマンションの売却価格は、築年数のほかに立地の良さ・需要の大きさなども影響します。古いマンションでも、良質な管理により高値で売買されるケースは珍しくありません。
マンションの状態を知りたいならインスペクションを実施しよう
せめて、いまマンションがどんな状態かわかればなぁ・・・。
インスペクションとは、売買物件に不具合がないかを把握するため、専門家(インスペクター)が第三者の立場で住宅診断をすること。
構造体力上の安全性・雨漏りの有無などの確認が、国土交通省のガイドラインに基づいて行われます。
たとえばマンションを売却する場合、インスペクションには次のようなメリットがあります。
- 買主が安心して購入できる
- セールスポイントとしてアピールできる
- 引き渡し後の不具合(瑕疵)によるトラブルを防げる
とはいえ売買成立後に「リフォームができない」「瑕疵が見つかった」といったトラブルを未然に防ぐためにも、実施しておくことが望ましいです。
インスペクションの流れやメリット・デメリット、瑕疵保険に加入するメリットについては、次の記事で詳しく解説しています。
マンションの寿命がきたらどうなる?建て替えより売却が現実的
どんなマンションでも、年月が経つにつれて劣化していくもの。
古くなるまで所有し続けていると、次のようなデメリットが生じます。
- 資産価値が下がっていく
- 大規模修繕の費用が高くなっていく
- 所有者が減ると維持・管理が難しくなる
築年数が古くなるにつれ、大規模修繕の費用も高額に。建て替えにかかる費用と同額ほどかかるようになるケースもあるのです。
また住人(所有者)が少なくなると、十分な修繕積立金を徴収できず、マンションの維持・管理が難しくなってしまいます。
建て替え後のマンションは、条件(所在階・位置などの物理的条件を含む)を従前とまったく同じにはできません。そのため、しっかり打ち合わせする必要があります。
マンションは売る時期によって、需要の大きさや売却価格が違ってきます。早めから検討し、いつまで住むのがベストか、いつ売ると損しにくいのかなど、今後の計画を立てるのがオススメです。
マンション売却について、詳しくは別記事「マンション売却の流れや注意点など紹介します」を読んでみてください。
マンション売却には一括査定サイトの利用もおすすめ!
マンションを売却するなら、不動産一括査定サイトの利用もオススメです。
一括査定サイトとは、複数の不動産会社へ一度に査定依頼ができるサイトのこと。利用料は無料です。
依頼のために不動産会社へ足を運ぶ必要はありませんし、申し込みフォームの記入を何度も行う必要もありません。
一括査定サイトの利用には、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | ・売りたいマンションの価格相場を把握しやすい ・自分に合う不動産会社を見つけやすい |
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デメリット | ・地域によっては依頼できる会社が少ない(ない)場合も |
当サイトではおすすめの一括査定サイトや活用法も紹介しています。詳しくは別記事「おすすめな不動産一括査定サイトを厳選してご紹介!」をご覧ください。
マンションの寿命が来る前に、対応方法を検討しておこう
マンションは古くなるほど資産価値が目減りしていきます。
いずれ売却する予定なら、築年数と売却の関係や売り時も知っておくといいでしょう。
いつから売り出すと買い手が見つかりやすいか、いつ売れると損をしにくいのかなどがわかれば、今後の予定を立てやすいです。
マンションの売却は3カ月~6カ月ほどかかるもの。
「マンションの寿命なんてまだまだだから、いま考える必要ない」と思っている方も、早めに検討しておくことをオススメします。
その時々で最良の管理や修繕を選択しても、どうしても建物の経年劣化を避けることはできません。
建て替えを選択するにしても、手間や費用のリスクがありますし、買い手はそのようなリスクを当然避けたいものです。少しでも売却の可能性を感じているのであれば、早めに専門家に相談してみることをおすすめします。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。