山林の売却方法や相場、必要な税金をわかりやすく解説
山林は買い手がなかなか見つからなかったり、相場よりも割安で取引されてしまったりで、売却が難しいとよく言われています。
できるだけ早く、高く山林を売却するには、正しい売却方法や相場感、税金について理解することが大切です。
当記事では山林売却における、次のような疑問を解決します。
・所有する山林の相場が知りたい
・山林の売却にかかる税金が知りたい
山林の売却を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
山林はどのように売却する?売却の依頼先を知っておこう
山林は宅地に比べて需要が少ないため、取引相手を見つけるだけでも大変です。
より多くの購入希望者に情報を提供するには、山林専門の不動産仲介業者に依頼することがポイント。
山林の売買には一般の不動産取引に加えて、土地の境界測定や立ち木の評価といった専門的な知識が必要です。
無事売却を成功させるためにも山林売買の実績を多く持つ専門の不動産業者に仲介役をお願いしましょう。
また計画的な売買活動をおこなうために、地域の森林組合や森林組合連合会への相談もおすすめです。
対象地域の森林組合に相談することで、所有する山林の状態を詳しく知ることができるため、売却計画が立てやすくなります。
地域によっては森林組合による斡旋サービスを受けられるメリットも。
より多くの購入希望者に山林の売出情報を見てもらうためにも、不動産業者や森林組合のサービスをうまく利用しましょう。
山林の相場はどのくらい?一括査定サイトを使って調べてみよう
山林の売却価格の相場は1㎡あたり100~5,000円。都市部に近いほど高い傾向があります。
ただし生えている樹木の種類や面積、林道までの距離といった条件によっても価格が左右されるので、一概には言えません。
不動産業者への査定依頼は、一括査定サイトの利用がおすすめです。
一括査定サイトなら数百~数千社から山林売却を扱う業者を探し出し、さらに複数社へ査定依頼をすることが可能。
査定価格を参考に、自身と契約を結ぶ不動産業者を判断できます。
不動産一括査定サイトのサービスやメリットなどは、次の記事を参考にしてください。
山林の売却手順をおさえて計画的に売却活動を進めよう!
山林の売却手順は通常の不動産売却とほぼ同じです。
この章では山林の売却開始から引き渡しまでの、おおまかな流れをチェックしていきましょう。
- 不動産業者に山林の簡易査定を依頼
- 不動産業者と媒介契約の締結
- 山林の訪問査定を実施
- 山林の売出しスタート
- 購入希望者と売買契約の締結
- 山林の引き渡し
まずは山林売却の仲介役を担う不動産業者を選びます。
どの不動産業者に依頼すればいいかわからない場合は、一括査定サイトから近隣の山林売却を取り扱う業者を探してみましょう。
一括査定サイトから候補となる複数の不動産業者に山林の査定を依頼して、査定結果や担当者とのやり取りを参考に、売却をお願いする不動産業者を選定します。
不動産業者選びのポイントや注意点は、次の記事を参考にしてください。
依頼先を決めたら、不動産業者と売主で媒介契約を結びます。
契約後は不動産業者による、現地での訪問査定が実施されます。
調査内容は、地上からの確認や土地の境界確認、ドローンからの空撮など。
この現地調査をもとに、不動産業者と相談しながら山林の売出し価格を決定します。
売出価格決定後は、いよいよ販売活動のスタートです。
地域で山林を探す人や林業関係者へ向けて、ネットやチラシ等で山林の売出情報を掲載します。
山林の購入希望と売主の条件が一致すれば、売買契約を締結し、所有権移転や土地の引き渡しへと手続きを進めていくことに。
山林のなかに生えている立ち木のみを売却する方法もある!
山林の売却方法は土地をそのまま売却する方法と山林に生えている立ち木のみを売却する方法の2つ。
立ち木のみを売却する場合は、山林の売買を扱う不動産業者や林業を営む企業に買取りを依頼することになります。
立ち木のみを業者に買い取ってもらう、おおまかな流れは次のとおりです。
- 買取業者に依頼
- 現地調査
- 立ち木価格の査定
- 売買契約の締結
- 立ち木の搬出・買取
立ち木のみを買取ってもらう流れも、山林ごと買い取ってもらう流れとほぼ同じ。
必要書類やドローンなどを利用して現地調査をおこない、調査結果をもとに立ち木の買取価格を査定してもらいます。
ただし山林の地形や搬出の難易度などの要因から、買取自体が難しいケースもあるようです。
山林売却における税金について、次の章で詳しく見ていきましょう。
山林売却にかかる税金の計算方法を理解しよう!
山林を売却して利益が出た場合、その利益(所得)に対して税金が課税されます。
税金の額は土地の部分(譲渡所得)と立ち木の部分(山林所得)に分けて、それぞれで算出することに。
それぞれの所得にかかる税額は、次のように求めます。
では譲渡所得税と山林所得税の算出方法を、詳しく見ていきましょう。
山林の土地の部分にかかる譲渡所得税の計算方法
譲渡所得にかかる税金を算出するには、まず課税譲渡所得を求める必要があります。
課税譲渡所得を求める計算式は、次のとおり。
譲渡収入とは山林の売却によって得た利益のことで、譲渡費用は山林の取得や売却に要した手数料などの費用を指します。
取得費が不明な山林の場合は、譲渡収入の5%とすることができます。
上の計算式で求めた課税譲渡所得に対して、当てはまる税率をかけた金額が納付する税金です。
譲渡所得の税率には短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つがあり、山林を所有する期間によって、どちらかの税率が採用されます。
種類とその所有期間 | 税率 |
---|---|
短期譲渡所得(山林の所有期間5年以内) | 39.63% |
長期譲渡所得(山林の所有期間5年以上) | 20.315% |
詳しくは「不動産売却にかかる税金とは?計算方法や支払うタイミングを知ろう」を参考にしてください。
山林の立ち木の部分にかかる山林所得税の計算方法
立ち木の部分にかかる山林所得は、次のように算出します。
売却価格には山林を売却した金額、必要経費には次の費用を当てはめます。
必要経費を求める際に山林の所有期間が15年を超えていれば「概算経費控除」の制度を利用できます。
概算経費控除とは、立ち木の売却価格(伐採費などの譲渡費用を差し引いた額)の50%+譲渡費用を取得費とみなして、必要経費とすることができる制度のこと。
最後に特別控除として、山林所得から最大50万円を差し引くことができます。
売却価格から必要経費を差し引いた金額が50万円以下であれば、山林所得自体が0円となるため、税金は課税されません。
章のはじめで紹介したとおり、山林所得にかかる税額は(山林所得金額✕1/5✕税率)✕5で求めます。
山林所得金額には、前述した山林所得の額を当てはめましょう。
税率は山林所得金額を5で割った金額によって、次のように決められています。
山林所得金額÷5の金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超、330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万円超、695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円超、900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円超、1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万円超、4000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
4000万円超 | 45% | 479万6000円 |
たとえば山林所得金額=700万円の場合、税額を求める計算式は次のようになります。
(700万円✕1/5✕0.5)✕5=35万円
不動産売却に必要な費用は、次の記事で詳しくまとめています。こちらもぜひ参考にしてください。
山林の正しい売却方法や税金について理解しよう
ただし山林の価格を正しく評価するには、境界確認や立ち木の評価といった、専門知識が必要となります。
不動産業者を探す際は、山林売買の実績がきちんとあるかどうかを確認しましょう。
山林売却を取り扱う不動産一括査定サイトを利用すれば、各社の査定によって山林の相場価格を知ることができます。
また山林を売却して利益が出た場合は、その利益に対して税金を支払わなければなりません。
譲渡所得と山林所得にかかる税額の計算方法を理解しておくと、いざ確定申告が必要となった場合も安心です。
トラブルなく山林を売却するためにも、正しい売却方法や相場、税金の知識を事前におさえておきましょう。
山林売買では境界が不明になっているケースが多く、売主さんがもっとも苦労することだと思います。
測量すると費用がかかるし境界がはっきりしなければ、後々買主さんとのトラブルになることもあります。
山林でも地籍調査がおこなわれている地域もあるので、売買にあたってはまず境界を確認することが先決だと思います。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。