老後の収入を得る方法を紹介!貯蓄・公的年金と合わせれば安心

老後生活、年金収入と貯蓄だけで足りると思いますか?

「100年生きる時代」も近いといわれる現在。長生きできるのは嬉しいことですが、その分生きているうちに貯蓄がなくなるリスクは高くなります。

そのため定年退職後なども、収入源を確保しておく必要があるのです。

老後の収入を得る方法は、「勤労所得」と「不労所得」の2パターン。

老後の収入をしっかり確保するためには「不労所得を得ながら、可能であれば勤労所得を得る」のがオススメです。

ただし不労所得の場合は、始めてから収入を得るまでの期間が長いものが多いです。定年退職後などにいきなり始めるのではなく、今から少しずつでも準備していきましょう。

この記事では、老後の収入源としてオススメなものをいくつか紹介します。

老後の収入を増やす方法一覧!自分に合った方法を選ぼう

老後に収入を得る方法は「勤労所得」と「不労所得」の2パターンで、それぞれ次のような方法があります。

老後の収入を増やす方法(例)
勤労所得 ・アルバイト
・在宅ワーク
・独立開業
不労所得 ・不動産投資
・個人向け国債
・投資信託
・個人年金保険
定年退職したら、老後はのんびり暮らしたいな。
でしたら不労所得で、老後の収入源を増やすのがオススメです。体力の衰えなどで働けなくなったときも安心ですよ。
いまの仕事を辞めたとしても、何かできる仕事があればしたいです!働かないと体が鈍ってしまうので。
その場合は、勤労所得を増やす方向でプランを立てましょう。高齢者でも働きやすい仕事はあります。働くことで生きがいを感じられる人にオススメですよ。

では次の章から、それぞれの方法について見ていきましょう。

老後収入を得る方法~不労所得編~

高齢になると、体力的・年齢的にできる仕事が少なくなり、働ける時間も短くなる可能性があります。そんなときに頼りになるのが不労所得です。

老後に不労所得があると働けなくなったときに安心

老後に不労所得を得る方法として、次の4つを紹介します。

老後収入(不労所得)を得る方法
  1. 不動産投資
  2. 個人向け国債
  3. 投資信託
  4. 個人年金

老後にオススメの不労収入その1:不動産投資

不動産投資とは、利益を得るためにアパート・マンションなどを購入すること。簡単に言うと、「大家さんになる」ということです。

不動産投資には「キャピタルゲイン(売却益)」を得る方法と「インカムゲイン(運用益)」を得る方法があります。

具体的な方法は次のとおりです。

キャピタルゲインとインカムゲイン
キャピタルゲイン
(売却益)
購入した不動産が値上がりしたら、売却して得る利益
インカムゲイン
(運用益)
所有する不動産を貸した際に、家賃収入として得る利益

キャピタルゲイン(売却益)は購入した不動産が値上がりしたら売却して得る利益

インカムゲイン(運用益)は不動産を貸して家賃収入として得る利益

キャピタルゲインとインカムゲイン、どちらが主流なんですか?
バブル期にはキャピタルゲインを得る方法が人気でしたが、いまはインカムゲインのほうが主流になっているんです。

不動産投資で主流となっているインカムゲインには、次の3つのメリットがあります。

不動産投資(インカムゲイン)の主なメリット
  • 収入が比較的安定している
  • 節税効果が期待できる
  • 工夫次第で利益を増やせる可能性がある

インカムゲインは家賃収入なので、物件を貸す相手(入居者)さえ見つかれば一定期間の収入を得られる場合がほとんどです。

また不動産投資は減価償却費などにより、所得税や住民税の節税効果も期待できます。

自分の力で利益を得られるチャンスがあるのも、不動産投資(インカムゲイン)の魅力。募集条件を変更したり、内装・外装を整えるなどして、入居者を集め、利益を増やせる可能性がありますよ。

不動産投資は募集条件や内装・外装を工夫して家賃収入を増やせる場合あり

不動産投資いいじゃん!でも物件を買うお金がなかったら、始められないよなー・・・。
自己資金(初期費用)がない場合は、銀行で住宅ローンを組み、お金を借りて不動産を買う人もいます。

ただし利益が出るか、どれくらい出るかはハッキリわからないので、なるべく自己資金を用意しておいたほうが安心です。

不動産投資は不動産を探したり、必要に応じて初期費用を銀行に借りたりなど、準備に手間や時間がかかります。

また買い手や入居者が見つかるまでは利益を得られないため、老後の収入を得たい場合は早めに始めたほうがいいでしょう。

不動産投資の始め方や初期費用の内容・金額、注意点などは「不動産投資の初心者でも大丈夫!始め方から分かりやすく解説」で詳しくお伝えしています。興味のある方は読んでみてください。

老後にオススメの不労収入その2:個人向け国債

「個人向け国債」とは、個人でも購入しやすくした国債(国庫債券)のことです。

国債とは言わば「国の借金」。債権を購入する(国にお金を貸す)と、国から定期的に利息が支払われます。一定期間を過ぎれば、購入金額の一部または全部を換金することが可能です。

個人向け国債は国が発行した国債を購入し、国から定期的に利息をもらう仕組み

定期的にもらえる利息と、一定期間が過ぎたら換金されるお金が「不労所得」になるってことですね!
そのとおりです。

個人向け国債は3種類で、それぞれ満期・金利タイプが異なります。

個人向け国債の種類
  • 3年債(固定金利型)
  • 5年債(固定金利型)
  • 10年債(変動金利型)

個人向け国債で老後の収入を得るメリットは、次のとおりです。

個人向け国債のメリット
  • 国が発行するので安心感がある
  • 元本割れしない
  • 1万円から購入できる
  • 中途換金も可能※
  • 0.05%の最低金利保証がある
※発行後1年以上経過すれば可能で、一定金額が差し引かれる

たとえば経済環境の影響で金利が下がった場合も、0.05%の最低金利保証があります。これより低い金利に下がることがないので安心。

元本割れもしないので、確実に収入を得たいという人にオススメです。

老後にオススメの不労収入その3:投資信託

老後の収入(不労所得)を増やしたいなら、投資信託も検討してみましょう。

投資信託ってよく聞く言葉だけど、ぶっちゃけ仕組みがよく分からないんだよなあー。
投資信託とは、投資を「ファンドマネージャー」と呼ばれる専門家に任せることです。
「ファンドマネージャー」って響き、なんかカッコイイなぁ!どんなことをしてくれるんですか?
ファンドマネージャーは投資家から資金を集め、株式・債権などを運用します。その利益が投資家に還元される仕組みなんですよ。

投資信託は投資家から集めたお金で投資・運用し、利益を投資家に還元する仕組み

投資信託は次の点から、老後の収入を得る方法にオススメといえます。

投資信託のメリット
  • 少額(1万円程度)から購入できる
  • 分散投資が可能
  • 専門家に運用を任せられる
「分散投資」って何すか?
分散投資とは、複数の商品に分けてリスクを分散させる方法で、投資の基本です。
専門家に任せるメリットって「知識がある人に運用してもらえるから安心」ってことかしら。
それだけではありません。他にも「時間や手間が省ける」「個人では購入が難しい海外の株式・債権などへの投資ができる」といったメリットがあります。
しかし投資信託は手数料がかかるうえに、信託報酬・監査報酬などが差し引かれるなどのデメリットもあります。

また個人向け国債のように元本保証がないため、預けた資産が減ってしまうリスクもあることも知っておきましょう。

投資信託のメリット・デメリットや投資信託の始め方、選び方などについては「投資信託の初心者でも大丈夫!上手な始め方をご紹介」のカテゴリーで詳しくガイドします。

老後にオススメの不労収入その4:個人年金保険

老後の収入を増やしたいなら、個人年金保険に加入して年金額の上乗せをするのも有効な手段といえます。

個人年金保険って何すか・・・?
任意で加入できる年金保険のことです。主に公的年金(国民年金・厚生年金)の上乗せとして利用されます。

たとえば厚生年金加入者の場合、もらえる年金は国民年金・厚生年金の「2階建て」になっています。それに加えて個人年金に加入すると、将来もらえる年金を増やすことが可能です。

個人年金を公的年金に上乗せするともらえる年金が増える

個人年金の種類や所得控除を受ける条件などは「個人年金保険の仕組みを解説!」で紹介しています。

老後の収入を得る方法~勤労所得編~

「定年退職しても仕事をしたい」という人には、次のような方法で老後の収入を得るのもオススメです。

オススメしたい老後の働き方
  1. アルバイト
  2. 在宅ワーク
  3. 独立開業

では順番に紹介していきます。

勤労所得で老後の収入を確保する方法1:アルバイト

定年退職をした後も体力に自信がある人や、「外に出て働いたり、職場で友達を作ったりして気分転換したい」という人には、退職後もアルバイトとして働くのがオススメです。

高齢者も応募できるアルバイトには、次のようなものがあります。

老後収入を得るのにオススメのアルバイト(例)
  • 事務業務
  • 軽作業
  • 清掃
  • 警備

ただし体を動かすようなアルバイトには「いつ病気やケガなどで働けなくなるかわからない」というデメリットも。

アルバイトで得たお給料だけを頼りに生活すると、老後破産のリスクが高くなります。他にも収入源を確保しておいて、万が一のときに困らないようにしましょう。

勤労所得で老後の収入を確保する方法2:在宅ワーク

高齢になると「家と職場の行き来だけでもつらい」と感じる人も多いです。また配偶者の介護などで、外に働きに出るのが難しい人もいるでしょう。そのような場合は、在宅ワークで老後の収入源を増やしてみてはいかがでしょうか。

在宅ワークのメリットは、勤務時間の指定が基本的になく、自分のペースで無理なく行えること。

老後収入を得るのにオススメの在宅ワークは、次のとおりです。

老後収入を得るのにオススメの在宅ワーク(例)
  • シール貼り
  • 事務業務
  • 模試の採点・添削
  • 校正・校閲
  • 記事の執筆
いろいろなお仕事があるんですね!私は専業主婦で家にいる時間が多いから、今から在宅のお仕事を始めてみようかしら。
そうですね。隙間時間を利用して、今のうちにお金をコツコツ貯めておくのも良いと思いますよ。

ただし在宅ワークで得られる収入は、アルバイトに比べかなり低いのがデメリットです。

勤労所得で老後の収入を確保する方法3:独立開業

現役時代に得た資格やスキルを活かしたいなら、定年退職後の独立開業もオススメです。

ただし独立開業をするには資金が必要なうえに、運営がうまくいかず十分な利益を得られない・倒産するなどのリスクを伴います。

おじいちゃんになってから、起業してバリバリ働くなんてカッコイイじゃん!でも絶対に利益を出せるわけじゃないから、ちょっと怖いなー。
そうですね。老後の独立は、起業のための資金を十分に用意できていて、能力・意欲を十分に発揮できる人にオススメの方法です。

また自分ひとりで行う事業の場合も、病気やケガで働けなくなると十分な収入を得られません。

病気やケガをしたら、障害年金をもらえば良くね?
65歳以上になると、障害年金をもらえる可能性はかなり低いです。障害年金の受給条件については「障害年金の申請前に確認!受給資格や申請方法」を読んでみてください。

貯金と公的年金のみの老後生活は高リスク!老後破産の危険性も

老後の収入を増やす方法って色々あるんですね!それが分かっただけでも、将来の不安が和らいだ気がします。
本当ね!帰ったら夫と相談して、個人年金保険の加入なども検討してみます。
でもさぁ、そもそも老後の収入って増やす必要あるの?ある程度貯蓄しておけば、年金ももらえるし余裕じゃね?
マルピーさん、その考え方は危険です!

いまは「100年生きる時代」と言われ、平均寿命も高くなっています。しかし長生きすることによって、なくなる前に貯蓄が底をつく「長生きリスク」も懸念されているのです。

ちなみに長生きリスクの原因や対処法については「公的年金だけで長生きリスクの対処は無理!オススメの資産運用は?」で説明しています。

また老後は特に、病気や介護などのリスクが高まります。

老後は病気や介護、災害時の出費が大きい

「限りある貯金をすり減らし、少ない年金でなんとか暮らしていく」のではなく「老後もなるべく収入を増やし、十分な貯蓄を確保しながら暮らす」ことが、安心で豊かな老後生活を送るコツなのです。

老後はいつまで生きるかわからないし、いつ大きな出費があるかわからない・・・だから老後破産してしまう危険性があるんですね!
そうなんです。老後破産には他にもいろいろな原因があるので「老後破産したらどうなる?原因と老後破産予備軍にならないための対策」も読んでみてください。老後破産にならないための対処法も紹介していますよ。

老後の収入はどれくらい?今後は必要な収入額が増える可能性も

ところで高齢者の方は、実際にどれくらいの収入を得ているんでしょうか?
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、平成27年の高齢者世帯の平均所得(熊本県を除く)は次のとおりです。
高齢者世帯の所得(厚生労働省)
平均所得全額
(平均世帯人員)
平均等価可処分所得金額(※1)
高齢者世帯(※2) 308.4万円
(1.56)
216.4万円
※1:平均等価可処分所得=世帯人数の違いを考慮するため、「所得から税金・社会保険料などを差し引いた金額(使い道が自由な金額)」を「世帯人数の平方根」で割って調整したもの

※2:高齢者世帯=「65歳以上のみ」または「65歳以上と未婚の18歳未満」で構成された世帯

たとえば50代男性のサラリーマンの平均年収は約640万円。税金を引いた額がざっと8割だとしても、老後の収入は大幅に少なくなることがわかります。

働き盛りのときは子育て・老後貯金のために十分な収入が必要ですが、老後に子どもが自立して住宅ローンなども完済していれば、収入が減っても問題ないのでは?
では高齢者の方々が、自分の収入に対してどう感じているのか見てみましょう。

内閣府の「高齢者の経済・生活環境に関する調査(平成28年)」によると、60歳以上の経済的な暮らし向きに関してどのように意識しているか、大まかな年齢別にそれぞれ次のような結果が出ています。

60歳以上の暮らし向き(内閣府)

60歳以上の経済的な暮らし向きに関する調査

家計にゆとりがあると感じている人は、15%くらいかぁ。結構少ないんですね・・・。
でも「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」という人が最も多いですね。
ただし長生きリスク対策の観点から考えると、収入や貯蓄の額はこれから増えていくと考えてもいいでしょう。先ほどもお伝えしたように、これからは100年生きる時代ですから。

老後の収入は、貯蓄と年金以外にも増やしておくと安心!

貯蓄と公的年金だけで老後生活を過ごすと、老後破産のリスクが高まります。

そのため若いうちから「老後の収入を得る準備」をしておくことが大切です。

勤労所得は、働いた分確実に収入を得られるという安心感があります。老後の仕事に役立ちそうな資格があれば、若いうちに取得しておくのもオススメですよ。

ただし高齢になると、病気やケガをして働けなくなった際、復帰できない可能性も高いです。また不労所得を得る方法は、始めてすぐには利益を出せない場合が多いことも覚えておきましょう。

特に老後も独身の人は、頼れる家族がいない場合も。お金がない時は国の公的支援を利用することもできますが、まずは安心な老後生活のために備えることを考えましょう。

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